2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03870
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今西 一太 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC)
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Keywords | 言語学 / アミ語 / 文法記述 |
Research Abstract |
今年度前半は主に昨年度に収集した資料・データを元に論文、発表をまとめる作業に費やした。夏休みを利用して博士論文の初めの二章を書きあげた。初めの章はアミ語の文化的背景や話者などの紹介、第2章は昨年度に得た正確で豊富なデータを利用し、音声・音韻の正確な分析を行った。また、『台湾原住民研究』という雑誌に『珍惜台湾南島語言』(李壬癸・著)という書籍の書評を投稿した。これは『台湾原住民研究』14号において刊行済みである。 年度後半には前半にまとめた論文・発表の一部を投稿・発表した。11月には日本言語学会141回大会において「アミ語における書き言葉の影響」という題目で口頭発表を行った。話者がいなくなりかけている言語で書き言葉の影響を調べた研究は珍しい。また、"Voice in Amis and the hierarchy of agentivity/patientivity"という題目の論文を学術雑誌Studies in Languageに投稿し、「修正の後受理する」という通知を受けた。現在修正作業中である。 そのほか、今年度中にまとめた研究として、"Noun, verb, and stative aspect in Amis"という、アミ語の動詞と名詞の関係を研究した発表、"Hiatus and insertion rules in Amis"という、アミ語のある子音(正門閉鎖音)と母音連続の関係を分析した論文、"Three-place verbs in Amis"という、アミ語の三項動詞(AがBにCを与えた、のような例)の研究、"Describing the morphology of Amis"という、アミ語の形態論に「屈折」「派生」という従来の枠組みを持ちこむことの問題点を指摘した研究などがある。また、複数の著者が自らの研究する言語を簡単に紹介する論文集にアミ語文法の概略を書き、現在査読中である。これらは来年度以降順次発表予定である。
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