2009 Fiscal Year Annual Research Report
転写メディエーターの新規キナーゼサブユニットCDK11の転写および生理機能解析
Project/Area Number |
09J03881
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
筒井 大気 University of Toyama, 医学薬学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メディエーター複合体 / RNA Polvmerase II / CDK8 / 転写制御 |
Research Abstract |
真核生物のタンパク質をコードするすべての遺伝子はRNA Polymerase II(Pol II)によってmRNAとして転写される。メディエーター複合体はPol IIを制御する主要なタンパク質複合体である。メディエーター複合体の機能は転写因子とPol IIの双方に相互作用することで、両者の相互作用を橋渡しすることであると考えられている。また、メディエーター複合体にはCDK8/19という2種類のリン酸化酵素が存在することが知られており、これらは相互排他的にそれぞれの複合体を形成している。これまでの研究で、このCDK8/19がいくつかの転写因子をリン酸化して制御することは知られていたが、より一般的な転写制御機構における役割はまだ良く分かっていない。 われわれは、このCDK8/19のより広範な転写制御機構における役割を解析するためHeLa細胞核抽出液よりCDK8,CDK19のそれぞれが形成している複合体を精製し、LC-MSIMSを利用してその構成因子を同定した。この解析により、HeLa細胞内でCDK8,CDK19ともにアルギニンメチル其転移酵素PRMT5とそのコファクターであるWDR77、そして機能未知のリン酸化酵素であるSTK38と相互作用していることを見出した。 PRMT5はこれまでにヒストンのアルギニン残基をメチル化することが知られており、PRMT5とCDK8/19の相互作用は、メディエーター複合体がヒストンのアルギニン残基のメチル化制御を介してエピジェネティクス制御を行っていることを示唆している。これまでに、メディエーター複合体は神経細胞においてヒストンリジンメチル其転移酵素であるG9aと相互作用してヒストン修飾を行うことが知られていたが、今回のわれわれの解析により新たなヒストン修飾を介した転写制御機構が示唆された。
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Research Products
(1 results)