2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写メディエーターの新規キナーゼサブユニットCDK11の転写および生理機能解析
Project/Area Number |
09J03881
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
筒井 大気 富山大学, 医学薬学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メディエーター複合体 / RNA Polymerase II / CDK8 / 転写制御 / PRMT5 |
Research Abstract |
真核生物のタンパク質をコードするすべての遺伝子はRNA Polymerase II (Pol II)によってmRNAとして転写される。メディエーター複合体はPol IIを制御する主要なタンパク質複合体である。メディエーター複合体の機能は転写因子とPol IIの双方に相互作用することで、両者の相互作用を橋渡しすることであると考えられている。 われわれは、このメディエーター複合体の広範な転写制御機構における役割を解析するため、メディエーター複合体の特徴的なサブユニットCDK8とCDK19に着目し、これまでにCDK8とCDK19のどちらアルギニンメチル其転移酵素PRMT5とそのコファクターであるWDR77、そして機能未知のリン酸化酵素であるSTK38と相互作用していることを新規に見出している。 PRMT5はこれまでにヒストンのアルギニン残基をメチル化することで転写抑制に関与していることが知られている。また、これまでにCDK8はC/EBPβの標的遺伝子を含むいくつかの遺伝子の転写制御過程において抑制因子様の挙動を示していることがわかっている。つまり、これらいくつかの遺伝子転写制御機構においてCDK8とPRMT5が協調的に機能して転写抑制に働いている可能性が考えられる。そこで、HL60細胞を用いてC/EBPβの標的遺伝子であるIL-1β遺伝子プロモーター上でのCDK8/19とPRMT5等の挙動をクロマチン免疫沈降法で解析したところ、C/EBPβの活性化後2時間でCDK8/19とPRMT5がプロモーター上から乖離することを見出した。このことはCDK8/19とPRMT5がIL-1β遺伝子プロモーター上で協調的に遺伝子転写を負に制御していることを示唆していると考えられる。
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