2009 Fiscal Year Annual Research Report
PLD法によるBaNb206ドープ超伝導薄膜に及ぼす成膜条件の効果
Project/Area Number |
09J03886
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 英樹 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超伝導体 / ナノロッド / 磁束ピンニングサイト |
Research Abstract |
近年、次世代材料である高性能超伝導体を開発する手法の一つとして、超伝導薄膜中へ磁束ピンニングサイトを導入する研究が国際的に広がっています。本研究ではPLD法を用いてBaNb_2O_6(BNO)添加REBa_2Cu_3O_<7-δ>超伝導薄膜を作製し、膜中の微細組織と超伝導特性に及ぼす結晶化温度及び基板の傾斜効果について検討致しました。 我々は薄膜中にBNOを添加することで、磁束ピンニングサイトとして機能する柱状欠陥(ナノロッド)を導入することに成功し、同試料の磁場中における通電量を増大させました。また、超伝導層の結晶化温度を検討することで、膜中のナノロッドの直径や分布密度の制御を可能とし、より効率的に磁束ピンニング効果を高める新規プロセスを提案致しました。さらに、単結晶基板上のナノレベル構造を利用して超伝導相の成長様式を変化させ、膜中のナノロッドの成長方向を一方向に制御することに成功しました。このナノレベルにおける微細組織制御の実現は、未だ困難とされている磁束ピンニングサイトの成長機構解明とモデル化に大きく寄与し、成長機構を支配する要因の考察及びその寄与度(数式化)を明らかにする糸口となります。最適なピンニングサイトの形成とその設計に大きく貢献する本研究成果は、高特性を有した新規超伝導材料開発の指標となると判断されます。 以上の研究成果をもとに、本年度の研究業績として国内学会において4回、欧国超伝導会議などの国際学会においても2回の発表を行い、独自の研究成果が評価されたことで優良発表賞及び支部発表奨励賞(共に口頭発表)を受賞致しました。さらに筆頭著者として学術誌採択論文を3本、共著者としては4本、査読中のものを含めて計10本の論文採択に貢献しました。これらの研究業績は従来報告例がなかった新たな研究成果に基づくものであり、最先端の現場において最新の研究に従事してきた結果であります。
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Research Products
(9 results)