2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03926
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 智子 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | スタンス / 中国語 / 会話分析 / 談話機能主義言語学 / 認知言語学 / インタラクション / 補文構造 / 認識動詞 |
Research Abstract |
以前から主な研究対象として分析を進めてきた『覚得』に加え、『認為』『想』等の同義語(すべて「思う」「考える」の意味を表す)についても量的および質的分析を行い補文節の述語のタイプにそれぞれ異なる傾向があることを明らかにした。『覚得』の補文節は形容詞述語が多く、評価的言明を構成する。『認為』はコピュラ動詞が多く、判断文を構成し、『想』は動作動詞が多く、未来の事態に関する予測を導く。また、補文構造が二人称主語や三人称主語と共起する場合の分析も進めた。二人称を主語に取る補文構造は基本的に疑問文もしくは命令文の形を取る。疑問文の場合、話し手は聞き手の思考内容・認識状態について一定の予測があって質問している場合が多く、聞き手に質問することで話し手自身の態度表明となる場合が多く見られる。命令文は談話標識としての文法化が進行している。三人称主語の場合、話し手は行動の観察から思考内容を推測してその思考内容を主語に帰属させることによりその三人称主語に対する評価的言明となっている場合が多い。このように、典型的に話者の認識的態度を表す一人称主語+補文構造のパターン以外にも、補文構造全般が話者の態度表明に関わることが明らかになった。 中国語会話データの文字化をし、今後の分析に利用可能なデータの蓄積を進めた。言語的共起成分に関する分析に加え、非言語的要素に関しても分析を開始した。まず、既に文字化されていたデータに対し、ビデオ分析を行った。認識的スタンス標識のターン末における出現と話者の視線が同期しているケースが複数あることが観察された。また、舌打ち等の非言語的音声に関しても、会話の修復に関わる機能を発見した。
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Research Products
(4 results)