2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03927
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上野 裕之 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Notch / Cdc4 / タンパク質分解 / リン酸化 |
Research Abstract |
Notchシグナルは、線虫からヒトまで高度に保存されており、個体の発生や恒常性の維持に極めて重要である。Notch IntraCelullar Domain(NICD)は、Notchシグナルの中核因子であり、神経前駆細胞を維持し、神経分化を阻害する。これまでの研究で私は、細胞周期進行(G2/M期進行)が神経分化に重要である事を示した。加えて、NICDがM期に、リン酸化され分解される事、SCF-Cdc4ユビキチンリガーゼと結合する事を明らかにしてきた。これらの知見から私は、M期にリン酸化されたNICDがSCF-Cdc4複合体(E3ユビキチンリガーゼ)により分解される事が、神経分化に必要であるのではないかと考え、解析を行ってきた。今回、私は、ツメガエル卵抽出液およびHEK293細胞を用いて、ツメガエルNICD(xeNICD)のCdc4結合部位の同定と、xeNICDのリン酸化キナーゼの同定を行った。まず始めに、xeNICDの様々な欠損変異体(約20種類)を作製し、各種NICD変異体とCdc4の結合を確認した。その結果、xeNICDのC末端領域がCdc4との結合に必要である事がわかった。そこで私は、同定した領域内にCdc4結合モチーフ(LpTP:pはリン酸化)が存在するかを調べたところ、2カ所のLTP配列を発見した。そこで、それぞれのLTP配列をLAP配列にアミノ酸置換した変異体を作製し、Cdc4との結合を検証した。その結果、xeNICDのT2480A変異体(LAP変異体)とCdc4の結合が有為に低下する事がわかった。次に私は、NICDのT2480をリン酸化するキナーゼを探索した。NICDがM期に高度にリン酸化される事、M期にNICDとCdc4が結合する事から、T2480はM期キナーゼによりリン酸化される可能性が示唆された。そこで私は、M期キナーゼでありTP配列をリン酸化するMPFに注目し、in vitro kinase assayを行った。その結果、MPFはNICDのT2480をリン酸化しうる事がわかった。そこで、NICDのT2480リン酸化特異的抗体を作製し、そのリン酸化状態を検証したところ、NCIDのT2480はM期にリン酸化されている事、また、MPF阻害剤(Roscovitin)処理によりそのリン酸化が減少する事がわかった。以上の結果から、M期にMPFによりT2480がリン酸化されたNICDは、Cdc4と結合し、分解される可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)