2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03932
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 雅之 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | SOCS / 抗腫瘍免疫 / マクロファージ / 樹状細胞 / 一酸化窒素 / インターフェロンγ / CD4T細胞 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
サイトカインシグナルにおける代表的な分子(SOCS1)についてマクロファージや樹状細胞に特異的なcKOマウスを作製し、SOCS1を欠損させたマクロファージや樹状細胞が腫瘍増殖、炎症性発癌にどのように作用するか解析した。腫瘍増殖に対する効果を検討するため、SOCS1-cKOマウスにB16、LLC等の腫瘍細胞株を皮下注射しマウスの生存率と腫瘍サイズを観察した。その結果、野生型マウスに比べSOCS1-cKOマウスで生存率が上昇し、腫瘍サイズも小さくなることが見いだされた。このことからSOCS1-cKOマウスは移植した腫瘍細胞に対して強い拒絶能力を有することが示された。また、炎症性発癌に対する影響を検討するため、SOCS1-cKOマウスにDSSとDMHを投与することで人工的に大腸癌を誘発し、その程度を観察した。その結果、野生型マウスに比べSOCS1-cKOマウスで発癌の程度が低いことが見いだされた。このことからSOCS1-cKOマウスは炎症性発癌に対して強い耐性を有することが示された。さらにSOCS1-cKOマウスにおける抗腫瘍効果の原因を調べるため、SOCS1-cKOマウスから採取したマクロファージや樹状細胞の、その他の免疫細胞に対する役割を解析した。その結果、SOCS1を欠損させた樹状細胞はIFNgを高産生するTh1タイプのCD4T細胞を誘導しやすいこと、CD8T細胞の腫瘍殺傷能力を上昇させることが示唆された。SOCS1-cKOマウスから採取したマクロファージ自身の抗腫瘍効果について解析したところ、マクロファージのSOCS1が欠損することでマクロファージからのNO(Nitric oxide)産生が増強され、正常なマクロファージに比べ強い抗腫瘍活性を有することが示された。以上のことから、マクロファージや樹状細胞のSOCS1をノックダウンすることは腫瘍に対する免疫療法の有効な手段であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)