2009 Fiscal Year Annual Research Report
低原子価チタンを含むバリウムチタン酸化物の合成と結晶構造、物性
Project/Area Number |
09J03933
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
片岡 邦光 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低原子価チタン酸化物 / バリウムチタン酸化物 / 結晶構造解析 / ホランダイト型化合物 |
Research Abstract |
低原子価チタンを含むバリウムチタン酸化物として、Ba_2Ti_<13>O_<22>多結晶試料、ならびにBa_4Ti_<12>O_<27>多結晶試料を還元雰囲気下で合成を行い、両物質の磁化率をSQUIDにより測定した。その結果、両物質とも室温付近から50K付近では伝導電子に伴うパウリ常磁性的な挙動を示し、50K以下では一般的なキュリー常磁性的な挙動を示した。これは一般的な磁化率の挙動とは異なる結果である。これは以前に測定を行った電気抵抗率測定においてホッピング伝導を示すことと関係があると考えられる。低原子価チタンを含むアルカリおよびアルカリ土類チタン酸化物は特異な物性を示す例が報告されているが、本系においても、同様に特異な物性を示した。これは、低原子価チタンを含むバリウムチタン酸化物としては、初めての物性データであり、その物性が特異的であることから、材料研究の観点から非常に興味深いものであると考えられる。またバンド計算を行った結果、これらの物性はバンド構造からは説明できないものであると考えられる。単結晶合成では、Ba_2Ti_<13>O_<22>多結晶試料を原料として、ホランダイト型Ba_xTi_8O_<16>とヘキサゴナル型BaTiO_<3-x>の合成に成功した。ホランダイト型Ba_xTi_8O_<16>では電子線回折パターンの測定から、想定されていたincommensurate構造的な回折パターンが見られた。既報にならいcommensurate構造として結晶構造解析を行うと、晶系はtetragonalでc軸方向に5倍周期を持つ結晶構造であった。これまでにcommensurate構造として結晶構造解析を行った結果、このような例はない。また、結晶構造解析の結果Baの組成が1.149であった。またc軸に9倍周期でも結晶構造解析が行えた。これは結晶学的には非常に興味深いものであり、incommensurate構造として結晶構造を明らかにする手がかりになるものと考えられる。
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Research Products
(4 results)