2010 Fiscal Year Annual Research Report
高分散分光観測による前主系列星の新たな年齢決定方法の確立
Project/Area Number |
09J03944
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高木 悠平 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 星形成 |
Research Abstract |
本研究では、前主系列星やそれに付随する原始惑星系円盤、双極分子流の進化過程をより詳細に学ぶために、前主系列星の年齢をより正確に求める新たな手法を確立することを目的としている。従来の年齢決定法では、距離、減光、ベーリングなどから生じる光度の不定性が大きな問題となっていたが、本研究では高分散分光観測から前主系列星の表面重力を導出することで、正しい年齢を求めることができる。今年度の主な成果として、近赤外KバンドにあるScとNaの吸収線の等価幅比を用いることで、3800K(0.6~0.7太陽質量)の前主系列星の年齢をファクター1.5の精度で決定することが可能となった。この結果と、昨年度の可視IバンドのFeとNaの等価幅比を用いた年齢決定方法を合わせることで、0.9~0.6太陽質量の前主系列星の年齢を決定することができるようになった。この手法を用い、本研究ではおうし座分子雲中に属する前主系列星の原始惑星系円盤の進化タイムスケールの解明に取り組んだ。原始惑星系円盤は惑星形成の場であるため、進化タイムスケールを明らかにすることで、普遍的な惑星形成過程の理解を深める事が可能となる。これまでは、前主系列星の年齢が星野光度から求められていたため、正確な年齢を基にした進化タイムスケールを明らかにすることができていなかった。本研究による手法で、正確な年齢を求めた上で進化タイムスケールを明らかにしたところ、原始惑星系円盤は4×10^6年で散逸することが明らかになった。この結果によって、惑星形成過程の理解がより一層深まると考えられる。
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Research Products
(4 results)