2010 Fiscal Year Annual Research Report
組みひも群・写像類群の順序構造とその結び目理論・三次元接触幾何への応用
Project/Area Number |
09J03953
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 哲也 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 組みひも群 / 写像類群 / 順序群 / 結び目理論 / 低次元トポロジー |
Research Abstract |
群の不変順序についてトポロジーの観点からの研究を進めた。群の不変順序の全体のなす集合には自然な位相が定まり、位相空間と見ることができる。群の左不変順序全体のなす位相空間と群の有界コホモロジー群との関係を調べ、順序全体の空間から、円周や平面などのよく知られた位相空間への連続写像を構成した。この連続写像はこれまでに知られていた連続写像の構成の一般化であり、個々の順序の離散性や凸部分群の存在などの代数的な性質を反映している興味深いものである。また、構成された順序構造に対応した有界コホモロジー類は群の一次元円周上への作用の特性類である有界オイラー類の拡張であり、順序構造の特性類として捉えることができることも示した。 また、円周上の曲面バンドルとなっているような3次元多様体の基本群の両側不変順序の存在問題についての研究そ進めた。Clay-Rolfsenにより、このような多様体の基本群の両側不変順序の存在問題について、3次元多様体の古典的な不変量であるアレキサンダー多項式による必要条件が与えられている。今回の研究において、アレキサンダー多項式によって与えられる必要条件は、アレキサンダー多項式の拡張である3次元多様体の不変量のねじれアレキサンダー多項式を用いて得られる必要条件と同等であることを示した。これは、これまでに知られている多様体のファイバー性についてなどの多くのアレキサンダー多項式の応用とは異なり、ねじれアレキサンダー多項式が古典的なアレキサンダー多項式と同等の情報しか持ち得ないということを示し、興味深い現象である。また、これらの研究に加えて、昨年度までに得られた結果を発展・整理し、論文出版に努めた。
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Research Products
(12 results)