2011 Fiscal Year Annual Research Report
組みひも群・写像類群の順序構造とその結び目理論・三次元接触幾何への応用
Project/Area Number |
09J03953
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 哲也 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 組みひも群 / 写像類群 / 順序群 / 結び目理論 / 低次元トポロジー / 三次元接触幾何 |
Research Abstract |
孤立順序と呼ばれる、群の不変順序のなす空間における孤立点に対応する左不変順序の構成について考察を進めた。孤立順序は代数学の観点からも、トポロジーの観点からも様々な興味深い性質を持つ。そのため、孤立順序は群の性質を強く反映した順序であり、今後様々な応用につながるものと期待される。 まず、組みひも群のDehornoy順序の定義を一般化し、Dehornoy-like順序と呼ばれる左順序のクラスを導入した。Dehornoy-like順序はDehornoy順序同様の性質を持つこと、および代数的な変形を考えることでDehornoy-like順序から孤立順序を構成することができることなどを示した。また、二つの無限巡回群の融合積としてあらわされる群に対し、具体的にDehornoy-like順序を具体的に幾何的な考察を交えることで構成した。 別の方向からのアプローチとして、孤立順序を持つ群二つの無限巡回群上での融合積を考えることで、これまでに知られている孤立順序から新しい孤立順序を作る方法を示し、孤立順序を持つ群の一般的な構成法の一つを確立した。特に、孤立順序の新しい例を多数構成し、中心が自明となるものなど、これまでに知られていた例とは異なる性質をもつ孤立順序を持つ群の存在を示した。 幾何の方面への研究として、これまでの研究で得られた手法、特にブレイド葉層構造の手法を拡張し、オープンブック葉層構造の手法を開拓した。これは、三次元接触幾何で中心的な役割を果たす特性葉層構造をより組み合わせ的に扱えるようにしたものである。オープンブック葉層構造の手法を用いて、オープンブックに適合し接触構造に横断的な結び目の自己交差数の一般公式を与えた。これは、古典的に知られているベネカンの定理の一般化である。この一般公式には写像類群のジョンソン準同型が本質的に表れる点で興味深いものである。オープンブック葉層構造の手法を用いることで、組みひも群のDehornoy順序と結び目の関係を一般化し、写像類群のニールセン・サーストン型順序と接触構造のタイト性についての関連を示した。また、タイトな接触構造についてのベネカン不等式といった三次元接触幾何におけるいくつかの基本的な結果の簡明かつより構成的な別証明を与えた。
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Research Products
(8 results)