2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジンバブエ再入植地域におけるコミュニティー形成に関する研究
Project/Area Number |
09J03970
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井戸 雄大 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジンバブウェ / 再入植計画 / 保有地の拡大 |
Research Abstract |
南部アフリカのジンバブウェでは、植民地期に白人入植者が制定した人種差別的な法律によって、大規模なアフリカ人の土地収用が行われた。独立後これら収容された土地を取り戻すべく、政府はこれら白人が所有している土地を買い取り、それらをアフリカ人の土地無し層に分配するという再入植計画を推進している。本研究の目的は、この再入植計画によって土地を得た人々の生業とその土地利用の実態を明らかにするとともに、政府の再入植計画の理念の変遷から、その方向性を議論するものである。 80年以来入植の進んだシャンバ県ムフルジ再入植地K村の人々は、農業を中心とした生業を展開しており、ほぼすべての世帯で保有地を隣接する林内放牧地に拡大しているという現象が明らかになった。保有地の拡大面積や耕作地面積は、世帯の妻の数、労働力、ウシの所有頭数と、入植当初から割り当てられた土地面積が大きく関係し、また世帯によっては保有面積の40%しか耕作していない例も見られた。村落内の土地の新たな開墾は、農業適地の減少により限界を迎え、土地をめぐる争いが頻発してきた。 さらに、この住民の保有地の拡大は、2000年を境に大きく性質が変化しており、第2世代や生産拡大をもくろむ世帯が、林内放牧地に次々と農地を開墾するにとどまらず、新村が再入植地内の未利用地に建設され、近隣のコミュナルランドの土地無し層が流入している。 これらの背景には、地域の行政機構の変更によって、2000年以降伝統的首長が地域の統治に公式的に組み込まれたという背景が存在していた。再入植地における土地の管理手法がコミュナルランドで行われていた慣習的な土地管理手法へと変化し、未利用地へのアクセスが容易になったことは、再入植地域が土地不足で悩むコミュナルランド住民の受け皿となっていると考えられる。
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Research Products
(1 results)