2009 Fiscal Year Annual Research Report
シデコブシとタムシバの種間交雑に関する生態遺伝学的研究
Project/Area Number |
09J04006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉木 一郎 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 種間交雑 / マイクロサテライト / 遺伝的分化 / モクレン科 |
Research Abstract |
野外集団における種間交雑の研究は,2種の種分化や交配隔離,遺伝子浸透に関する進化生態学的に重要な知見をもたらす。本研究ではモクレン科モクレン属の近縁種であるシデコブシとタムシバを材料に用いて,1)シデコブシ・タムシバの野外集団における雑種形成に関する研究,2)シデコブシ集団の遺伝的変異にタムシバとの種間交雑が及ぼす影響の以上2つの研究を計画・実施した。以下に1)の研究の詳細を報告する。 1)シデコブシ・タムシバの野外集団における雑種形成に関する研究 岐阜県多治見市小名田のシデコブシとタムシバが側所的に生育する集団において,シデコブシとタムシバの開花調査を実施した結果,タムシバが若干早い傾向を示すものの重複しており,2種の野外集団における交雑が季節的に可能であることが示された。シデコブシとタムシバ,樹種不明個体の花の花弁幅と花弁数で統計的に有意な差が検出され(P<0.05),樹種不明個体は2種の中間的形質を示すことが明らかとなった。核マイクロサテライトの主座標分析の結果,シデコブシとタムシバは明らかに異なる分布を示し,樹種不明個体はそれらの中間的な分布を示した。葉緑体マイクロサテライトのハプロタイプはシデコブシとタムシバで共有されておらず,樹種不明個体のハプロタイプはタムシバのものと一致し,樹種不明個体の種子親はタムシバであると考えられる。以上より,岐阜県多治見市小名田のシデコブシとタムシバが側所的に生育する集団では,シデコブシとタムシバの種間交雑による雑種個体が生育しており,また交雑の方向性はシデコブシが花粉親,タムシバが種子親である一方向的なものであることが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)