2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト人工多能性幹細胞から分化誘導した細胞における腫瘍化リスクの軽減
Project/Area Number |
09J04042
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田邊 剛士 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | iPS / 腫瘍化 / Lin28 |
Research Abstract |
iPS細胞の開発当初からiPS細胞から分化誘導した移植用細胞が腫瘍化する危険性が危惧されていた。iPS細胞を細胞移植医療の資源として開発する上で腫瘍化リスクを減らすことは急務である。 iPS細胞は、レトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターを用いて作製されてきた。これらのウイルスベクターは自身の遺伝子情報を宿主のゲノムに挿入することで安定的な遺伝子発現を行うため、iPS細胞由来の移植用細胞が腫瘍化する危険性がある。 これまで、iPS細胞はOct3/4,Sox2,Klf4,c-Myc(YM-4)を用いて作製されてきた。この4遺伝子からc-Mycを除いて(YM-3)もiPS細胞は作製できる。c-Mycを用いず作製されたiPS細胞由来の分化細胞では、腫瘍化リスクが軽減することがしられている。 しかし、YM-3因子で作製したマウスiPS細胞由来のキメラマウスにおいても腫瘍は発生することが学会で報告され、iPS細胞の作製に使用する癌遺伝子をさらに減らす必要があることが示唆された。 また、Ym-3でiPS細胞を作製した場合、腫瘍化リスクは軽減されるが作製効率が非常に減少してしまう事が問題であった。他のグループは異なる4または3因子(Oct3/4,Sox2,Nanog,Lin28、Oct3/4,Sox2,Nanog)を用いてヒトiPS細胞の作製に成功した。これら、6種類の遺伝子を組み合わせてiPS細胞の作製を試みる中で、Lin28がiPS細胞の作製効率を上昇させることを見出した。Lin28はYm-3に足すことでiPS細胞の誘導効率を上昇させる。Lin28を使用すれば腫瘍化リスクを軽減したiPS細胞を効率よく作製できる可能性がある。 来年度はLin28を使用し作製したiPS細胞で腫瘍化リスクが増えないか、LIN28の作用機序を検討することでアプローチする。
|
Research Products
(6 results)
-
[Journal Article] Variation in the safety of induced pluripotent stem cell lines.2009
Author(s)
Miura,K., Okada,Y., Aoi,T., Okada,A., Takahashi,K., Okita,K., Nakagawa,M., Koyanagi,M., Tanabe,K., Ohnuki,M., Ogawa,D., Ikeda,E., Okano,H., Yamanaka,S.
-
Journal Title
Nature Biotechnology 27
Pages: 743-745
Peer Reviewed
-
-
-
-
-