2010 Fiscal Year Annual Research Report
食嗜好性に関与する味細胞-味神経間における味質特異的情報ライン形成のメカニズム
Project/Area Number |
09J04061
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安尾 敏明 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 味覚 / 味細胞 / GABA |
Research Abstract |
食物の味の情報は味細胞で受容され、味神経を経て、脳へと伝えられる。しかし、その味情報が味細胞から味神経へどのようなメカニズムで伝達されているのかについては、まだ多くが不明である。 昨年度は、GABA_AやGABA_B受容体サブユニット、GABA応答を制御する2種類のC1^-トランスポーター(KCC2、NKCC1)が味細胞に発現すること、GABA基底外側膜側への投与により、発火頻度が増加する細胞と減少する細胞が存在し、甘味応答が増加する細胞や、苦味応答が減少する細胞が存在することを明らかとしている。 本年度は、II型細胞、III型細胞をGFPにて蛍光標識させた遺伝子改変マウス(II型: T1R3-、TRPM5-、Gustducin-GFP、III型:GAD67-GFP)を用い、解析を行った。その結果、GABAやGABA_A受容体アゴニストムシモールの投与により、II型細胞で生じる甘味応答は増大し、苦味応答は減少し、GABAやGABA_B受容体アゴニストバクロフェンの投与によりIII型細胞の酸味応答は減少した。また、GABAやムシモールの投与により、甘味応答が増大したII型細胞をsingle cell RT-PCRした結果、半数でNKCC1が検出された。さらに、免疫染色の結果、茸状乳頭と有郭乳頭のII型細胞及びIII型細胞の一部でNKCC1及びKCC2が検出され、特にKCC2は茸状乳頭では主にGAD67-GFP発現細胞と共発現し、ごく一部のTRPM5-GFP発現細胞で共発現するが、有郭乳頭ではTRPM5-GFP発現細胞の半数で共発現していた。さらに、GABAイメージング解析の結果、high K^+刺激やクエン酸刺激により味細胞からのGABAの放出が観察された。 以上の結果から、GABAは味細胞から放出され、II型及びIII型細胞において味覚修飾に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)