2010 Fiscal Year Annual Research Report
後期中新世のモンスーン気候の発達に伴う草本植生の種多様性形成プロセスの研究
Project/Area Number |
09J04068
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 真生子 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 古植物 / 大型植物化石 / 後期中新世 / フィッショントラック年代 / 草本 / モンスーン / 日本固有種 |
Research Abstract |
本研究は、後期中新世の大型植物化石群を用いて、気候変化と草本植生の種多様性増加の過程を調べ、モンスーン気候の発達が草本植生に与えた影響を明らかにすることを目的としている。本研究では、後期中新世の種実化石と現生種実の形態を比較し種実化石の同定を行い、古植生を復元する。また、種多様性や草本種の生活形(一年生・多年生など)に着目し、植生変遷を明らかにする。 平成22年度は主に平成21年度の研究成果を公表することに重点をおいた。さらに、野外での補足調査も行った。前年度に行った楊井層の野外調査で採集したサンプルから得られた大型植物化石をもとに古植生を復元した。その結果、ブナ属やメタセコイア属のなど木本の大型植物化石のほかに一年生草本のヒメミカンソウや日本からは絶滅したアリノトウグサ科のProserpinaca属の種子化石が見つかった。この成果は筑波大学で開催された古生物学会およびハンガリーで行われたヨーロッパ古植物学会・花粉学会の合同大会で口頭発表を行った。大阪で開催された国際メタセコイアシンポジウムでは後期中新世のメタセコイア林の草本植生を楊井層の植物化石から復元し、口頭発表を行った。さらに研究進展に、日本固有種のブナ属やフサザクラなどは比較的安定した環境である山地の斜面上部に、日本から絶滅したメタセコイやスイショウ、Proserpinaca属などの種は大きな撹乱が起きる低地に多く分布していたことが本年度に新たに示唆された。この結果は、日本生態学会でポスター発表を行った。また論文発表としては、前年度に得られた楊井層の凝灰岩のフィッショントラック年代および楊井層から新たに見つけた凝灰岩を記載した論文を執筆し、学会誌に投稿した。この論文は現在査読中である。
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