2010 Fiscal Year Annual Research Report
味覚器再生過程での情報伝達経路の再構築における分子機構の解明
Project/Area Number |
09J04078
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
楠原 庸子 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | うま味 / 甘味 / 再生 |
Research Abstract |
ギムネマシルベスタという植物に含まれるペプチドのグルマリンは、マウスの鼓索神経(CT:舌前方支配神経)の甘味応答を抑制する。当研究室の研究から、マウスの甘味受容経路にはグルマリン感受性(GS)と非感受性(GI)が存在しており、GS経路にはGustが関与していることが明らかとなっている。さらに、うま味物質に核酸のIMPを混ぜることによるうま味の相乗作用はGS経路を経ることが示唆されている。また、マウスのCTを挫滅させると、GI応答は3週目から、GS応答は4週目から再発現することが明らかとなっている。このことから、GS、GI経路の味細胞-味神経間連絡に関わるガイダンス分子の解析に挑む。 野性型マウスにて味刺激(酸味:10mM HCl、苦味:20mM QHCl、塩味:0.1M NaCl、うま味:0.1MMSG、0.1M MSG十0.5mM IMP、0.1M MPG、0.1M MPG+0.5mM IMP、甘味:0.5M Sucrose、0.02M saccharin)によるCT応答を記録した。続いてマウスのCT挫滅後1~5週目の1週ごとに、CT応答を記録した。うま味応答は3週目からうま味の相乗作用は4週目から検出され、グルマリン感受性応答の発現時期と一致した。単一神経応答では、うま味物質に応答する線維にはSucrose-best(S型)とMPG-bedt(M型)が存在し、それらはうま味物質MPGのIMPによる相乗作用が見られる群(S1,M1)と見られない群(S2,M2)に分類される。代謝型グルタミン酸受容体mGluR1とmGluR4の阻害剤であるAIDAとCPPGを用いた単一神経応答では、M1群に対するMPG応答はAIDAによって、M2群に対するMPG応答はCPPGによって有意に抑制された。今後は神経挫滅後の味応答や味細胞の発現と同時期に発現するガイダンス分子を探索する予定である。
|