2010 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病モデルラットを用いた睡眠障害メカニズムの解明
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09J04091
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
酒井 紀彰 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | パーキンソン病 / ロテノン / 睡眠発作 |
Research Abstract |
パーキンソン病は、特徴的な運動障害を示すが、殆ど全ての患者で睡眠障害を伴う事が報告されている。特に日中の過度の眠気や睡眠発作は、パーキンソン病の治療薬を服用する事で増悪する。このような睡眠障害は、生命に関わる重大な事故に繋がる可能性が極めて高く、非常に重要な臨床症状である。それにも関わらず、運動障害に比べ睡眠障害の原因については、依然として不明な点が多い。そこで本年度は、昨年度検討した薬剤投与量及び投与方法を用いて、パーキンソン病発症モデルラットの作製を試み、モデルの有用性を検討した。 まず、ロテノンを埋め込み式ポンプにより持続投与を行い、体重及び行動量の変化を測定した。ロテノン投与群は、投与開始10日前後から体重及び行動量の減少が認められたが、大きな個体差が見られた。一部の個体では、急激な体重減少の開始後数日で死亡した。また、体重及び行動量の急激な減少が認められた個体では、埋め込み式ポンプの除去後、体重及び行動量が回復したことから、ロテノンの急性毒性によるものである可能性が高い。一方、4週間の持続投与で生き残った個体では、体重、行動量の緩やかな減少の後に動作緩慢と寡動の症状を示した。コントロール群では、体重及び行動量の減少と異常行動は認められなかった。さらに脳の凍結切片を作製し、抗チロシン水酸化酵素(TH)抗体を用いて中脳黒質のドーパミン産生細胞の障害を検討したところ、4週間の持続投与で生き残った個体では、TH陽性細胞数の著しい減少が認められた。一方、急激な体重減少を引き起こした個体では、TH陽性細胞数はコントロール群と比較して、有意な差は認められなかった。以上のことから、睡眠測定を行うには4週間の持続投与で生き残った個体のみを用いる必要があり、今後これらパーキンソン病発症モデルラットを用いて睡眠解析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)