2009 Fiscal Year Annual Research Report
擬カゴメ格子系反強磁性体YbAgGeの元素置換と圧力によるフラストレーションの制御
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09J04104
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久保 博一 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 重い電子系 / フラストレーション / 中性子回折 |
Research Abstract |
本研究の目的は,重い電子系擬カゴメ格子化合物YbAgGeの磁性に磁気フラストレーション,RKKY相互作用,近藤効果がどのような影響を及ぼしているかを明らかにすることである。常圧,零磁場中におけるYbAgGeの磁気構造が,磁気フラストレーションに起因した構造であれば,その実験的証拠となる。そこで,常圧下で多くの等価な磁気反射強度を測定し,その磁気構造を決定するために,単結晶中性子回折実験を行った。また,YbAgGeのAgをAuで置換することにより,元素置換による磁気フラストレーション制御を行った。 YbAg_<1-x>Au_xGe(x=0.3-0.11)単結晶を作製し,電気抵抗,比熱,磁化を測定した。 単結晶中性子回折実験の結果から,YbAgGeの磁気構造はフラストレーション系特有の120°スピン構造であることを明らかにした。元素置換効果の実験結果から,x増加に伴い近藤効果の増強が示唆されたが,それにも拘わらず転移温度上昇が観測された。この結果は,非磁性副格子の乱れによって磁気フラストレーションが緩和されたことを意味する。この結果を日本物理学会2009年秋季大会で発表した。磁気構造解析と元素置換効果から,YbAgGeは重い電子系Yb化合物の中で稀有なフラストレーション化合物の例であると言える。上記の結果とこれまで行ったYbAgGeの磁気フラストレーション効果に関する成果をまとめて,博士論文を完成させた。
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Research Products
(3 results)