2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病モデルにおけるTBP-2の糖・脂質代謝制御機構の解析
Project/Area Number |
09J04122
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉原 栄治 Kyoto University, ウイルス研究所, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 2型糖尿病 / インスリン抵抗性 / インスリン分泌不全 / TBP-2 / ミトコンドリア / uncoupling protein-2 / Insulin / Akt signaling / 膵β細胞 |
Research Abstract |
2型糖尿病は我が国でも推定2000万人近い患者と予備軍を抱え、社会的に深刻化の一途をたどっているが、根本的な治療法はいまだに確立されておらず、その病態発症機構も不明な点が多い。糖尿病発症に関与する分子を探索し、創薬ターゲットとして活用することが求められている。 私はこれまでTBP-2欠損の糖尿病モデルマウスではob/obマウスの特徴の1つである肥満は改善しなかったが、糖尿病様高血糖が野生型と同程度まで改善されることを明らかにした。今年度はさらにTBP-2は糖尿病モデルマウスの各臓器において顕著に増加しており、特に骨格筋や膵島での発現亢進量が多いことを明らかにした。これまでインスリン抵抗性は肥満によって破綻するアディポネクチンや遊離脂肪酸によって引き起こされると考えられていたが、TBP-2欠損によるインスリン抵抗性の改善はそれらの因子を介さずにインスリン刺激によるInsulin/AKT/GLUT4シグナルの亢進を介し、インスリンによる糖取り込みの増強が観察された。つまりTBP-2を中心とした新たなインスリン抵抗性の機構が存在することを明らかにした。またTBP-2欠損の糖尿病モデルマウスではin vivo, ex vivoにおいてグルコース刺激によるインスリン分泌能が顕著に改善していた。さらにグルコースによるATP産生能も増強していた。 これらの結果は糖尿病発症要因のインスリン抵抗性とインスリン分泌不全の両方にTBP-2は決定的な作用を持つことを示唆している。 これらの発見は糖尿病の引き金分子としてのTBP-2の機能と、TBP-2の発現もしくは活性の抑制が、糖尿病病態の新たな治療法になる可能性を示唆している。
|
Research Products
(4 results)