2009 Fiscal Year Annual Research Report
Evi-1による難治性白血病発症にポリコーム群が及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
09J04132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉見 昭秀 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Evi-1 / 白血病 / Polycomb / PTEN / AKT / mTOR / Rapamycin / エピジェネティクス |
Research Abstract |
申請者は難治性白血病原因遺伝子の一つであるEvi-1がポリコーム複合体とタンパク-タンパク結合することを見出した.また,それを手掛かりに新たなEvi-1の標的遺伝子としてがん抑制遺伝子PTENの転写を負に制御することを,マイクロアレイ解析から見出した.面白いことに,Evi-1はポリコーム複合体をPTENのプロモーター上にリクルートすることで主にヒストン3リジン27(H3K27)のメチル化を介してPTENの転写を抑制することが,クロマチン免疫沈降やレポーターアッセイの結果から示唆され,同所見はマウスモデルだけでなくヒトの白血病検体でも確認された.同時に,ヒトの白血病細胞の発現解析より,Evi-1とPTENの発現量の間には逆相関の関係があることが確認された.Evi-1はPTENの転写を抑制し,下流のAKT/mTORシグナルを活性化する所見が得られたことから,mTOR阻害薬であるRapamycinがEvi-1高発現白血病細胞に対して優れた増殖抑制効果をもつ可能性が考えられた.そこで予後不良難治性白血病であるEvi-1高発現白血病のマウスモデルを世界ではじめて確立し,同マウスモデルにRapamycinを投与したところ,有意にマウスの生存が延長した.以上の結果から,今回の研究により,いままで治療標的が明らかでなかったEvi-1高発現白血病に対して新たな分子標的療法が確立された上に,Evi-1とポリコーム複合体のinteractionについても有望な治療標的となることが示され,難治性白血病の克服につながる可能性のある新規治療法の開発に向かって大きな前進が得られたと考えられる.
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