2009 Fiscal Year Annual Research Report
全反射蛍光顕微鏡を用いたアミロイド超分子複合体形における関連因子作用機構の解明
Project/Area Number |
09J04143
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 寿梓 Osaka University, 蛋白質研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 全反射蛍光顕微 / Amyloid β(1-40) / レーザー照射 / アミロイド線維 / 増殖機構 / 損傷 / 活性酸素 / リアルタイム観察 |
Research Abstract |
今年度は、主に研究実施計画に記述した「超分子複合体形成機構と制御」の中の「Aβ線維の損傷条件の探索」に関する知見について詳細に調べた。具体的には、当研究室で組み立てた全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)を用いて、アルツハイマー病原因ペプチドの一つであるAβ(1-40)のアミロイド線維形成時におけるレーザー照射の影響について検討した。TIRFMを用いてアミロイド線維形成機構および線維の特性を可視化することで、まだ明らかされていない線維形成分子機構を直接的に証明することを目的としている。今年度の成果報告として、アミロイド線維の増殖と崩壊のそれぞれを誘導するレーザー照射に関する知見を得た。 アミロイド線維はある時間から急激に線維が増殖することが知られているが、この増殖機構に関する知見は乏しい。増殖機構の一つとして、線維の断片化等が生じ、それを起点に新たな線維伸長が開始するという反応が提唱されているが、直接的に証明はされていない。Aβ(1-40)のアミロイド線維伸長をリアルタイムで観察すると、ある時間で一線維から複数の線維に増殖することが明らかになった。さらにその線維増殖には、線維の断片化、枝分かれ等の複数の機構が存在し、これまで議論されてきたアミロイド線維の増殖機構に関して視覚的に証明した。線維増殖はレーザー照射によっても誘導され、照射エネルギーに依存した。少しのレーザー照射(エネルギー小)では線維が部分的に損傷し、その結果新しい線維末端が生じたことより線維が増殖したが、徹底したレーザー照射(エネルギー大)は、さらに線維の損傷を進行させて線維を分解した。このことから、線維の増殖と崩壊は、「線維の損傷」という共通の機構が必要であることがわかったが、少しの違いで二つの経路(増殖:病気の進行、崩壊:病気の治療)を決定していることが明らかになり、本研究成果はアミロイドーシスの治療方法の開発に新たな洞察を与えた。
|
Research Products
(5 results)