2009 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙マイクロ波背景放射偏光観測実験「QUIET」によるインフレーション理論の検証
Project/Area Number |
09J04154
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
茅根 裕司 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 観測的宇宙論 / 宇宙マイクロ波背景放射 / 偏光 / 重力波 / インフレーション宇宙論 / 重力レンズ |
Research Abstract |
宇宙マイクロ波背景放射(CMB)偏光観測実験「QUIET」は、チリのアタカマ砂漠に設置されたチャナントール観測所(標高5,080m)でCMB偏光B-modeの検出を目指し、観測を行っている。QUIETでは2008年10月からQ-band(40GHz帯)の観測をはじめ、2009年8月までにおよそ3,000時間の観測を行った。またQ-band終了後は、新たに設置したW-band(90GHz帯)で2009年8月から観測をはじめ、2010年3月現在で2,000時間の観測を終え、現在も観測中である。私もW-bandの観測について、実際に2ヶ月弱チリに滞在し観測を行った。現在はW-bandの観測をチェックしながら、Q-bandデータの解析を精力的に行っている。 解析ではデータのリダクション、ノイズ解析、キャリブレーション(較正)、マップメイキングプログラムの開発・解析を行った。本年度はこれらに加え、データセレクション、宇宙論的解析に関するソフトの開発・解析も行った。以上のうちで特に重要で、成果が得られたものは以下の二つである。 ひとつは較正である。較正の精度は、最終的なパワースペクトラムの解析に直接影響を与えるため、最新の注意を払い誤差、特に系統誤差を抑える必要がある。QUIETでは空、月、TauA(蟹星雲、超新星残骸)の観測・解析を組み合わせることで、系統誤差を抑えた較正を実現した。次はデータのセレクションである。データを多角的に解析し、データの質を落とす原因を突き止め、可能ならば復旧を試み無理ならばカットすることで、データの質を高めることに成功した。 我々は上記の解析を順調に進めており、最終的な結果を来年度の早い時期に発表する計画である。
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