2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌における薬剤感受性増強遺伝子の同定とそれを用いた遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
09J04162
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
坂部 友彦 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 肝細胞癌 / IFN-α/5-FU / PRKAG2 / TGFBR2 / EXT1 |
Research Abstract |
本年度は、平成21年度までに報告したIFN-α/5-FU感受性増強遺伝子のうち、その効果が特に顕著に認められたTGFBR2、EXT1過剰発現時における薬剤感受性増強メカニズムの解明を行った。各遺伝子の過剰発現細胞に対し、5-FU単独及びIFN-α/5-FU併用処理を行い、48時間後にヘキスト染色、カスパーゼ3/7の活性測定を行った結果、2遺伝子の過剰発現によって、核の断片化、カスパーゼ3/7の活性化が増強されていることが示され、これらの遺伝子は5-FU、IFN-α/5-FUによって誘導されるアポトーシスを増強していることが示唆された。さらに、TGFBR2過剰発現によるTGF-βシグナルの活性化、EXT1過剰発現に伴う小胞体ストレスの増加について検討を行った。その結果、TGFBR2の過剰発現によって、TGF-β応答性のレポータープラスミド(p3TP-Lux)からのルシフェラーゼ発現の増加、Western blot法によるアポトーシ関連タンパクの変化を認めた。EXT1過剰発現においては、小胞体ストレス関連因子であるBip、CHOP mRNA発現、及びATF4タンパク発現の増加が認められた。これらの結果より、TGFBR2、EXT1過剰発現によるメカニズムとして、それぞれTGF-βシグナル活性化を介したアポトーシス関連タンパクの制御、ER stressの関与が示唆された。また、肝癌細胞株皮下移植によるヒト肝癌モデルマウスに対して効果検討を行った結果、アデノウイルスによるTGFBR2、EXT1導入は、コントロール遺伝子(LacZ)導入群と比較して、有意にIFN-α/5-FU併用による腫瘍退縮効果を増強した。これらの結果から、本研究で同定した遺伝子は癌治療への有用性が期待される。
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Research Products
(6 results)