2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌における薬剤感受性増強遺伝子の同定とそれを用いた遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
09J04162
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
坂部 友彦 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 肝細胞癌 / IFN-α/5-FU併用療法 / PRKAG2 / TGFBR2 / EXT1 / 治療効果予測マーカー |
Research Abstract |
本年度は、平成22年度までに同定したIFN-α/5-FU感受性増強遺伝子について、IFN-α/5-FU治療に対する効果予測マーカーとしての可能性について検討を行った。併用療法を受けた17名の進行肝細胞癌患者の癌部における遺伝子発現と予後との相関を調べた結果、PRKAG2発現は、感受性患者において高い傾向が認められ、生存率とは有意な正の相関を示した。また、TGFBR2発現は、感受性患者において発現が有意に低く、生存率とは有意な負の相関を示し、本研究で得た結果に基づく予想とは逆の結果となった。TGFシグナルは、癌抑制と癌促進の相反する2種の機能を示すことが報告されている(Derynck R, et al. Nat Genet. 29 ; 117-129 ; 2001)。その為、進行肝癌患者においてTGFBR2発現やTGF-βシグナルは併用療法感受性よりも癌の悪性度や腫瘍の進展に寄与していることが示唆された。さらに、昨年度までにHepG2細胞で得られた結果について、他の肝細胞癌細胞株(HuH7、PLC/PRF/5)での確認を行った。その結果、HuH7においては、TGFBR2過剰発現によって、TGF-βシグナル活性化を介したIFN-α/5-FU併用効果増強を示した。一方、PLC/PRF/5においては、EXT1過剰発現による抗腫瘍効果増強が確認された。しかし、PLC/PRF/5は、IFN-α/5-FU処理による細胞内TGF-β1 mRNA発現亢進が生じない為、TGFBR2過剰発現による抗腫瘍効果増強は認められなかった。これらの結果から、本研究で同定した3遺伝子は、複数の肝癌細胞株においてIFN-α/5-FUによる抗腫瘍効果を増強することが示唆された。また、PRKAG2、TGFBR2については、IFN-α/5-FU併用療法に対する治療効果予測マーカーとして有用であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)