2009 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルスインテグレースに結合するユビキチンE3リガーゼの同定と解析
Project/Area Number |
09J04184
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山元 誠司 Kyoto University, ウイルス研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | HIV / インテグラーゼ / 宿主因子 / Huwe1 |
Research Abstract |
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)をはじめとするレトロウイルスの複製における特徴の一つは、逆転写酵素反応によって合成されたウイルスDNAを宿主のゲノムに組み込むこと(インテグレーション)である。 インテグレーションはレトロウイルスの複製に必須の過程であり、それはウイルス蛋白質であるインテグラーゼ(IN)によって触媒される。しかし、IN領域に変異を加えるとインテグレーションだけでなく、他のウイルス複製の過程にも大きな影響が及ぶことが知られており、INの多機能性は以前から示唆されている。私は、INをベイト蛋白質として用いたtandem affinity purification(TAP)法によって、HECT型のユビキチンE3リガーゼであるHuwe1(HECT, UBA and WWE domain containing 1)を同定し、そしてHuwe1はHIV-1のINに対しても結合活性を示すことを報告した。そして、Huwe1をノックダウンした細胞を用いた感染実験の結果より、Huwe1はその細胞から産生されるHIV-1の感染性を低下させる作用を有する可能性が示唆された。そこで、産生過程に必須のGag-Pol前駆体蛋白質(C末端側にIN領域を持つ)に着目し、免疫沈降法によりHuwe1とGag-Polの相互作用を解析したところ、Huwe1はGag-Polと結合する、そしてその結合はGag-PolのIN領域依存的であることがわかった。以上の結果はHuwe1がGag-Pol前駆体との相互作用を介して、感染性HIV-1粒子の形成に対して影響を及ぼす可能性を示唆しており、IN結合性因子がウイルスゲノム組み込み過程以外の段階に作用するという新たな知見である。
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Research Products
(1 results)