2009 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける沿岸域生態系の保全と利用への包括的アプローチに関する研究
Project/Area Number |
09J04191
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 侑樹 Kyoto University, 地球環境学堂, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 底質 / 養殖 / 貧酸素水塊 / 酸揮発性硫化物量 / 漁業資源管理 |
Research Abstract |
ベトナム中部のラグーンの漁場において、(1)現在の水産資源利用、特に養殖管理におけるリスクの把握を目的とした底質調査および、聞き込み調査、(2)持続的な漁場利用にむけた漁場環境特性の把握に向けた底質堆積機構に関する環境調査、(3)天然の底生生物水産資源の利用の把握に向けた貝類の漁などの漁法や管理に関する聞き込み調査および、生物量調査を行った。 ラグーン内の漁場では、底質の酸揮発性硫化物量(以下、AVS量)が養殖のシーズンの継続期間とともに増加した。漁場地域における水中溶存酸素量の特性は、雨季(養殖期間終了後)の洪水・淡水の流入によっておこる成層の発達にともなう貧酸素水塊(溶存酸素量3mg/l以下)の発生が確認された。しかしながら、一部の地域では、乾季の養殖期間中にも貧酸素水塊が確認され、また養殖終了後にも関わらず高いAVS量を示す慢性的に底質環境が悪化している漁場も見られた。 上記のような一部の悪化が深刻な漁場がある反面、一部の漁場では、雨季の洪水によって底質のAVS量の軽減が見られる箇所が発見された。天然の底生生物の資源量の調査では、Crassostrea rivularis(カキの一種)Glauconomya chinensisなどが確認され、ラグーン内の浅瀬で漁も頻繁に行われており、引き続き、長期的な資源量の調査を行っていく必要性が伺われた。今後、さらなる底質の分析から底質堆積機構、そして資源量の把握から、対象漁場地域における持続敵な漁場利用のあり方を示していく必要性がうかがえた。
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Research Products
(1 results)