2010 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける沿岸域生態系の保全と利用への包括的アプローチに関する研究
Project/Area Number |
09J04191
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 侑樹 京都大学, 地球環境学堂, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ベトナム / 底質環境 / 漁場管理 / 酸揮発性硫化物量 / 雨季洪水 / 底質変化 |
Research Abstract |
地道なフィールド調査を継続することにより、ベトナム中部における漁場環境の周期的変化や雨季・洪水による底質の変化の有無、それによる漁業活動への好影響、特に底質環境からみた漁場の特性と漁業活動への影響を明らかにし、また、一部地域で非常に漁業におけるリスクの高い漁場、貧酸素や底質内の高い酸揮発性硫化物量がみられる場を特定するなど、現地における漁場の環境管理に役立つ多くの学術知見を獲得できた。特別研究員の期間中は、対象地域に暮らす人々に裨益するための学術と応用実践の両面を意識した野心的な研究活動に従事した。今後は、京都大学の研究員として研究を継続する予定であり、丁寧で周到なフィールド調査を基調とする多くの学術論文や報告書の発表が見込まれている。昨今のベトナムにおける漁業資源の利用・管理は、行政主導、住民の自主性の欠如、貧困、違法な漁業活動等があり、一筋縄で解決する課題ではない。しかしながら、本研究者は、地域住民と良好な関係を築き、アクションリサーチを通じての現地住民の立場や実情を踏まえた漁業資源管理への理解や実践のあり方に迫っている。ベトナムの一例だけで、アジア全域の汽水域や沿岸域に単純に適用できるとは限らないが、研究成果を論文という表現手段だけではなく、地域支援に関わるODA事業などと連携しつつ「活動形」として還元することが多いに期待できる研究であり、今後のアジア沿岸域における漁業資源管理の新たなあり方の模索的研究として、今後本研究の地域的なアプローチをアジアの沿岸域へ拡大させる予定である。
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Research Products
(4 results)