2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコーム遺伝子群による左右軸形成のエピジェネティック制御
Project/Area Number |
09J04214
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
新井 大祐 Waseda University, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | エピジェネティクス / 左右軸 / ポリコーム遺伝子群 |
Research Abstract |
ポリコーム遺伝子群(PcG)の翻訳産物はエピジェネティック制御において重要な役割を担う因子である。本研究はメダカを用いた逆遺伝学的手法により、PcG、特にPRC2複合体による左右軸形成の機序の解明を目的としている。本年度は以下の点について研究を進めた。1.OLEEDの繊毛形成における機能。メダカPRC2構成因子の一つであるOLEEDの機能を阻害した胚は繊毛形成異常を呈する。繊毛関連遺伝子の発現解析から、Noto遺伝子が標的候補として浮上した。この遺伝子のmRNA注入による回復実験の結果から、OLEEDがNoto遺伝子の発現制御を介して繊毛形成ならびに左右軸決定に参加していることを証明した。2.OLEZH1による左右軸制御機構。Ezh1は哺乳類でのみ報告されているPRC2構成因子であり、その機能はほとんどわかっていない。本研究ではまずEzh1が脊椎動物全体に高度に保存されていることを確認した。メダカを用いた逆遺伝学的解析により、Ezh1のメダカ相同タンパク質にあたるOLEZH1も左右軸形成に必要であることが示された。予想と異なり、OLEZH1は繊毛形成には関与せず、左側マスター遺伝子であるNodalの右側での抑制を行うことが示された。またOLEEDは繊毛形成とNodalの抑制の両方に関与することを示す知見を得た。これによりOLEEDとOLEZH1がPcG複合体として左右軸形成に関わることが示唆された。以上の知見より、PRC2によるエピジェネティック制御が左右軸形成に深く関わる可能性が示された。
|
Research Products
(5 results)