2009 Fiscal Year Annual Research Report
NMRによるAPC-SAMPモチーフ・DDEF1-SH3モチーフ複合体の構造解析
Project/Area Number |
09J04220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
海江田 修至 Osaka University, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | NMR / SH3ドメイン / 蛋白質立体構造解析 / 構造生物学 / 蛋白質複合体 / DDEF1(ASAP1) / APC |
Research Abstract |
DDEF1-SH3ドメイン/APC-SAMPモチーフ複合体の立体構造を、溶液NMRを用いて決定した。腫瘍抑制因子APCには、多くの大腸癌組織で変異が見られ、SAMPモチーフと呼ばれる特徴的なアミノ酸配列がその腫瘍抑制能に不可欠である。これまでにAPC-SAMPモチーフがDDEF1のSH3ドメイン、及びAxinのRGSドメインと相互作用することはわかっているが、腫瘍抑制における役割は、明らかになっていない。更に、これらのドメイン間には構造的類似性がなく、SAMPモチーフがいかにして2つの異なるドメインに認識されるのか不明であった。また、DDEF1-SH3ドメインは、良く知られたSH3ドメイン結合配列であるPxxPモチーフとSAMPモチーフを同一の部位で認識することも既に確認されている。SH3ドメインは多くの蛋白質に存在するドメインであるが、PxxPモチーフ以外の配列を認識するものはほとんど知られておらず、異なる複数のアミノ酸配列と相互作用するSH3ドメインは非常に稀である。このように、SAMPモチーフとDDEF1-SH3ドメインは共に蛋白質立体構造の観点から、非常に特徴的であると言え、SAMPモチーフとDDEF1-SH3ドメインの分子間相互作用の構造的基盤から、APCの機能に関する知見を得ることが出来ると考えられる。決定されたDDEF1-SH3ドメイン/APC-SAMPモチーフ複合体の構造から、SAMPモチーフは、SH3ドメインと相互作用する際に、polyproline type IIヘリックスを形成することが明らかとなった。この構造は、PxxPモチーフがSH3ドメイン上で取るものと同一である。しかしながら、SAMPモチーフはPxxPモチーフに相当する配列を有していないにも拘らず同様の構造を形成するという点で興味深い結果である。
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