2009 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子デバイスの導電挙動の解明を志向した新規π共役オリゴマーの開発
Project/Area Number |
09J04250
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遠藤 克 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オリゴチオフェン / 分子ワイヤ / 被覆 / 電子受容性 / 単分子 |
Research Abstract |
単一分子ワイヤの導電特性の評価方法としては、ブレークジャンクション法、STM法による方法が試みられている。それらの方法から得られる統計データは量子的な挙動を示し、単一分子に由来するものであることが推定されている。しかし、それらのデータが電極自身や近傍の分子による影響の受けている可能性についてはいまだ議論されているところである。本研究ではナノギャップ電極と10nmという巨大な有機分子を用いることにより、STM等による可視化が可能、被覆した分子を用いることにより近傍の分子の影響が排除可能となる。この観点から、分子間相互作用を阻害する長鎖分子ワイヤの開発を行った。平行して、分子ダイオードへの応用に先立ち、合成が困難であるため新奇な物性を有することが期待される電子受容性の長鎖オリゴマーの開発、構造-物性相関の評価を行った。 完全被覆型オリゴチオフェン分子ワイヤの開発…コンバージェント法を用いることで両末端にアセチレンおよび硫黄官能基を有する被覆型オリゴチオフェン6量体の合成を達成した。フッ化銀媒介パラジウム触媒C-H結合切断カップリング反応により、被覆型オリゴチオフェンの効率的なオリゴマー化に成功した。 電子輸送型オリゴチオフェン分子ワイヤの開発…当研究室で高い電子受容性を有することを報告しているジオキソジフルオロシクロペンタ[C]チオフェン誘導体をビルディングブロックとして用いることで、15量体までの、電子受容性オリゴチオフェン、及び新規に被覆部位を導入した電子受容性オリゴチオフェンの合成法を確立した。CV測定、電子吸収スペクトル測定からこれらのオリゴチオフェンは予期したように電子受容性が向上し、被覆を施したものにおいては高い被覆効果を有することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)