2010 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子デバイスの導電挙動の解明を志向した新規π共役オリゴマーの開発
Project/Area Number |
09J04250
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
遠藤 克 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オリゴチオフェン / 分子ワイヤ / 被覆 / 電子受容性 / 単分子 |
Research Abstract |
近年リソグラフィ技術の発達により半導体は格段に微小化したが、この技術を用いたさらなる微小化は技術的に困難と言われている。分子は物質の中で最も小さい物の一つであることから、それらを半導体として用いるという概念が「分子エレクトロニクス」である。この概念の実現のためには、最も単純な素子である「分子ワイヤ」の導電特性の評価が不可欠であった。チオフェン環を直線状に連結した「オリゴチオフェン」は、決まった長さを有することから、分子ワイヤの構造-物性-導電挙動評価に適した化合物である。しかし、長鎖オリゴチオフェンにおいては拡張したπ電子同士で相互作用が働くため、単一分子の評価が困難であった。この観点から、分子間相互作用を克服する分子ワイヤの開発を行った。 完全被覆型オリゴチオフェン分子ワイヤ開発…分子間相互作用を克服するための置換基として、チオフェン環に垂直にフルオレン環を有するモノマーを用いて、チオフェン環同士を結合させるクロスカップリング反応を用いることにより、全てのチオフェン環上に被覆部を有し、両末端に電極と接合可能な硫黄官能基を有する被覆型オリゴチオフェンの合成を達成した。合成した化合物は期待通りの物性を有しており、共同研究によるチオフェン2量体、4量体、6量体におけるSTMを用いた単分子の評価からは、これらのオリゴマーは理論計算とよく一致した導電特性を示すことが明らかとなった。 電子輸送型オリゴチオフェン分子ワイヤ開発…高い電子受容性を有することを報告しているジオキソジフルオロシクロペンタ[C]チオフェン誘導体を、上記同様にカップリング反応を用いることで、一般のオリゴチオフェンとは異なる導電挙動を示すと期待される、電子受容性オリゴチオフェン、被覆部位を導入した電子受容性オリゴチオフェンを合成した。各種測定から、これらの化合物は期待通りの物性を示すということが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)