2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04257
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 哲 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 大気ブロッキング / 大気力学 / 中高緯度大気 / 総観規模気象学 / 対流圏大気 / 流体力学 / 大気シミュセーション / 異常気象 |
Research Abstract |
大気ブロッキング(以下,ブロッキング)は,日本を含んだ中緯度偏西風帯において,半径約5000kmに及ぶ高気圧が約10日程度停滞・持続し,その間に偏西風上流側から流されてくる移動性高低気圧を'ブロック'する大気現象である.いったんブロッキングが発生すると,長い間通常と異なる偏西風の流れが維持されるため,異常気象と密接に関係している.それは,2010年夏に日本に異常高温をもたらした原因の1つであるとも考えられている.これまでそのブロッキングのメカニズムについて,新たなメカニズムを提唱し,その有効性を検証する研究を行ってきた. 本年度の研究は,より定量的に,自身の提唱するブロッキング持続メカニズムの確証を行なった.これまでの研究において独立して行なっていた事例解析と理想化数値実験の手法を融合させたハイブリッドな解析を行なうことで定量的解析を可能にした.これは,昨年度までの数値実験では理想化モデルには,ベータ平面モデルという地球大気のある特定の部分だけを模したモデルを使っていたが,今回地球と同じ球面モデルを用いることで現実大気,つまり事例解析のデータと数値モデルを融合させることが可能となったためである. 上記の研究と平行して,2010年の夏に発生したブロッキング事例について解析を行なっている.この解析を通じて,夏に発生するブロッキングを初めて解析しており,ここから自身の研究について更なる発展を得る種を発見することができた.今後自身にとって新たな切り口の研究が発展できそうである. 交付申請書の目標の達成度は8割程度であるが,その理由は新たな方向性が生まれたことによって論文に執筆が遅れているためである.現在論文の構成を練り直し.質・量ともに計画を上回る内容のものを執筆中である.
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