2011 Fiscal Year Annual Research Report
水稲農耕伝播のメカニズムの実証的研究―韓半島南部と日本列島をケースとして―
Project/Area Number |
09J04282
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
端野 晋平 九州大学, 人文科学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 水稲農耕 / 伝播 / メカニズム / 物質文化 / 気候変動 |
Research Abstract |
本研究は、韓半島から日本列島への水稲農耕伝播のメカニズムを解明することを目的とする。当該年度は、水稲農耕開始前後における列島・半島の考古学的事象に関する検討を行った。また列島・半島を対象とした、これまでの研究結果と比較するための東アジアの他地域の事例として、台湾島先史時代の農耕化に関する検討を試みた。列島・半島の考古学的事象に関する検討にあたっては、まず日本・韓国に所在する調査研究機関に赴き、土器・石器などの考古資料の実物調査を行った。そして、これにもとづいて、半島から列島へと水稲農耕とともに、物質文化がどのように広がっていったのか、に関する検討を行った。さらに、この検討結果と前年度に明らかにした気候変動との関係をみて、水稲農耕伝播の背後にある要因・メカニズムに関する議論を深めた。また、台湾島先史時代の農耕化に関する検討にあたっては、台湾大学隆田考古展示館所蔵石器の調査(実測・写真撮影・高倍率顕微鏡を用いた使用痕分析)を行い、今後、この地域での農耕化の過程を明らかにする上での基礎データを蓄積した。以上の研究成果の一部は、第18回GIS研究会、古代学協会共同研究「列島初期稲作文化の荷担者の研究」検討会において、報告を行った。当該年度に行った研究は、水稲農耕開始前後における半島・列島間あるいは列島各地域間の交流の実態、交流と気候変動との関係が鮮明になったこと、半島・列島における農耕化との比較事例としての台湾島先史時代の農耕化の解明に向けての研究が一歩前進したことに、意義をおきたい。
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Research Products
(2 results)