2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体二次元系のスピンを含むサブバンド構造の制御に関する研究
Project/Area Number |
09J04292
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新井田 佳孝 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 低温物性 / 半導体物性 |
Research Abstract |
・Si/SiO_2量子井戸中に形成される二次元正孔系のエネルギー準位の閉じ込め電界依存性 狭ギャップ半導体中に形成される二次元電子系ではRashba効果を介したゲート電圧による電子スピンの操作が報告されており、閉じ込め電界強度に比例したスピン分離が観測されている。Rashba効果とは二次元系に垂直に印可される電界に依存した有効磁場が発生するというような相対論的現象であり、それに伴う二次元系のスピン分離が発生することが知られている。Rashba効果の操作はスピントランジスタの動作原理の一つであり、応用面でも注目されている。 正孔系ではGaAs等においてRashba効果を介した正孔スピンの操作が報告されているが、閉じ込め電界の増大に対してスピン分離が減少するような"負のRashba効果"といった、電子系とは全く異なる振る舞いが報告されている。これは、正孔のバンド構造の複雑性によっていると考えられている。ところが、応用面で重要な半導体であるSiにおいてRashba効果に焦点を絞った系統的な研究はない。また、SiO_2は良い絶縁膜を形成できるため、強電界までのRashba効果の研究に適している。 本研究では、二次元正孔系に垂直磁場を印加し、状態密度をLandau量子化させた状態で閉じ込め電界を変化させながら伝導特性を測定した。低温においては伝導特性にLandau準位構造が反映されるが、Si中の二次元正孔系においても、閉じ込め電界によってLandau準位構造が変調されていることを確認した。また、面内磁場を印加した状態での同様な測定から、Landau準位構造の閉じ込め電界依存性は、狭ギャップ半導体忠の二次元電子系におけるRashba効果と同様であることがわかった。
|
Research Products
(1 results)