2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04309
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡部 潤也 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | LES / 乱流混合 / 乱流燃焼 / 超音速流 / スクラムジェット / 噴流 / 水素燃料 / 数値解析 |
Research Abstract |
平成23年度は、前年度に作成した任意の気体種を扱える多成分非燃焼LESコードに改良を加え、水素燃料の燃焼反応を扱える超音速乱流燃焼LESコードを完成させた。このコードを用いて、まず、水素と燃焼加熱空気の同軸超音速噴流バーナーを模擬した計算を行い、過去の実験結果との詳細な比較を行った。LES計算によって得られた温度分布、燃焼生成物の濃度分布、OHラジカルの濃度分布等は実験計測で観測されたものとよく似ており、計算コードの妥当性を実証できた。 続いて、スクラムジェット燃焼器の燃料噴射形態の基礎要素である、超音速空気流中への水素燃料の壁面垂直噴射の計算を行った。スタンフォード大学で行われた過去の実験結果と比較すると、同様なOHラジカル分布が再現できており、また、噴流の貫通特性もよく一致した。また、LES計算によって得られた瞬時時系列の温度、圧力、化学種濃度等の詳細データを解析することで、現状実験計測では取得し得ない燃焼発熱量や各化学種の生成速度の空間分布を算出した。これらの結果は、スクラムジェット燃焼器における超音速乱流燃焼状態の把握にとって極めて有意義な情報である。本研究では基礎的な燃料噴射場に留まったが、本コードをより実用的な燃焼器形態に適用すれば、より実用的に役立つ情報を取得可能であるため、本研究で超音速乱流燃焼現象に適用できるLESコードを完成させたことは、極めて重要な成果であり、今後その活用が期待される。 また、昨年度の成果および上記の研究成果は学術論文としてまとめ、論文投稿を行った。なお、当初予定していたプラズマ反応の導入は断念した。これは、プラズマ反応モデルが未だ未成熟であること、および、東日本大震災の影響により研究計画が遅れたことに起因する。
|