2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスに伴う消化管運動異常に対する新規概念構築:排便中枢におけるグレリンの役割
Project/Area Number |
09J04314
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
平山 晴子 Gifu University, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 消化管運動 / グレリン / 大腸運動 / ストレス / 過敏性腸症候群(IBS) |
Research Abstract |
グレリンは、胃から主に放出されるペプチドホルモンで、成長ホルモン分泌亢進など中枢に対する作用がよく知られている。作用発現には脂肪酸修飾が必要であることがグレリンの構造上の特徴であり、脂肪酸修飾を持たない型をデスアシルグレリンという。これまでに申請者の所属する研究室では、中枢からの消化管運動への影響も検討できるin vivoの実験系を用い、非ペプチド性グレリン受容体アゴニストが脊髄排便中枢に作用し大腸運動を亢進させることを報告した。この結果に基づき、申請者はこれまでに、グレリンの脊髄排便中枢への投与は大腸運動を亢進させるが昭、デスアシルグレリンによっては大腸運動に変化がないという結果を得た。本研究の目的は、グレリンを脊髄で作用する神経伝達物質としてとらえ、その脂肪酸修飾の比率変動により大腸運動が調節されるという新規概念の構築である。前述の結果をふまえ、申請者は当該年度においてこれらペプチドの相互作用について解析し、単独では大腸運動に影響を与えなかったデスアシルグレリンが、グレリンで亢進させた大腸運動に対しては抑制することを明らかにした。この結果により、作用点における両者のバランスが大腸運動の調節に関与している可能性が示唆された。例えばストレスなどの中枢からの指令により、この大腸運動調節機序が影響を受け下痢や便秘といった病態がおこりうるとも考えられ、本研究の成果は近年問題となっている過敏性腸症候群などの器質的変化のない消化管疾患の病態解明に寄与すると考えられる。また、グレリンを脊髄排便中枢で産生され作用する神経伝達物質として定義づけるため、脊髄におけるグレリンの産生および局在を検討した。RT-PCRによりmRNAの発現が確認され、現在免疫組織学的手法を用いて検討を行っている。グレリン応答性神経の有無についても、新生ラット脊髄半裁標本を用いた電気生理学的実験により現在検討中である。
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Research Products
(5 results)