2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際人権法と国家責任法との交錯―外交的保護制度の新展開の可能性
Project/Area Number |
09J04317
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山下 朋子 神戸大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 国際法 / 外交的保護 |
Research Abstract |
本年度は、とりわけ後半に実施したベルギーのブリュッセル自由大学における在外研究において、欧州研究者らとの議論を通じて特に人道法、戦後補償との関係で外交的保護に関する新展開について議論を掘り下げることができた。この成果については、24年度中に論文にまとめ、海外ジャーナルにて公開する予定である。加えて、国際法分野において英語と同等に不可欠であるフランス語の習得や、欧州の研究者により頻繁に開催されている小学会・会議等にも多数参加することで、世界的にも有名な多くの研究者や欧州の若手研究者らと知り合い、議論を交わすことで大いに示唆を得ることができた。彼等は実際に国際争訟の場にて国家の代理人を務める経験を数多く積んでいるため、そのような経験に乏しい国内研究者からは得られない緒観点からの示唆を得ることができた。また、フランス語習得には過大な労力が必要であることから、現代日本の国際法界は英語圏に偏重しがちである一方で、いまだ国際法に関しては約半数の論文や判決文がフランス語で記述されている現状を考慮しても、英語圏とは異なる大陸法の文化を引き継いだベルギーでの研究活動にて得ることのできた経験・人脈は、日本にいては得がたい貴重な糧として、今後研究活動を続ける上でも重要な意義を有していると言える。また、今年度前半、日本にいたころには、京都大学にて毎週土曜に開催されている国際法研究会にて報告を行なったり、その他各学会に積極的に参加するなどしたりして、国内研究者から昨年度公表した外交的保護の擬制に関する論文について意見をもらい、さらに高察を深めることができた。加えて、国内重要判例の英訳を学会誌(Japanese Yearbook of International Law,vol.54,2011)に掲載するための翻訳なども行った。
|
Research Products
(3 results)