2010 Fiscal Year Annual Research Report
国際人権法と国家責任法との交錯―外交的保護制度の新展開の可能性
Project/Area Number |
09J04317
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山下 朋子 神戸大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 外交的保護 / 国際法 / 法的擬制 |
Research Abstract |
前年からの研究である外交的保護の実体的側面である、外交的保護の法的擬制についての研究成果を、京都大学にて開催されている国際法研究会および神戸法学雑誌にて公表した。そこで伝統的な外交的保護理論における法的擬制が、じつは2種類あったことを明らかにした。2006年に国連国際法委員会にて採択された外交的保護条文草案に至るまでの流れを検討するなかで、個人の国際主体性をみとめる現代国際法秩序と外交的保護制度との整合性については、私人の訴権と国家の訴権との関係を詳しく検討する必要があることが判明したため、それぞれの条約制度や、個人の訴権の放棄に関する戦後補償の問題などについて、23年度に検討する必要があると考えている。これらの観点に付き、順次論文を公表する予定である。本年度の研究成果については、神戸法学雑誌60巻1号にて公表済みであり、京都大学にて毎週土曜に開催されている国際法研究会においても適宜研究報告を行っている。また、国際法学会や世界法学会の研究大会において、国内の研究者と意見交換を行うなどした。現在は、国際法上の個人と国家との訴権の競合、国内救済完了原則など、外交的保護の手続的側面に関する研究をすすめ、2本目の公開論文にまとめるための準備をしている。また、研究会など出先でも研究資料を検討できるようにするためのパソコン周辺機器などの購入が必要であったこと、前年と同様に、国際法に関する最先端の議論を網羅するため、膨大な海外資料を収集するためのかなりの書籍費、複写費等が必要になったことで、本年度は予定していた海外での調査を見送ったが、来年度に長期の在外研究を行うための準備を本格的に進めている最中である。
|
Research Products
(1 results)