2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規フラーレン集合体の創製と光電変換システムへの応用
Project/Area Number |
09J04391
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松岡 健一 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フラーレン / 形状制御 / ドナー・アクセプター錯体 / ホストーゲスト相互作用 |
Research Abstract |
[70]フラーレン(C_<70>)-脂肪族ジアミン類から形成される新規フラーレン集合体の構造特性評価 脂肪族アミン類とフラーレン間の相互作用に関する研究は、フラーレン化学の中でも長い歴史を持つ。これらは反応により付加化合物を与えることから、特に有機化学の分野で進展を遂げてきた。これに対し、本研究ではC_<70>と特定の脂肪族ジアミン類の反応により、高選択的に形状制御された集合体が得られることを明らかにしてきた。しかしながら、C_<70>集合体内部におけるC_<70>-アミン間の相互作用については、準分な知見が得られていなかった。 本研究では第一に、得られた集合体内部では、C_<70>-アミン間に電子(または電荷)移動相互作用が生じていることを分光測定や電子スピン共鳴から明らかにした。第二に、C_<70>集合体は、極性溶媒との接触により、アミン類を外系に抜き出すことが可能であった。したがって、本集合体は電子的相互作用により内包するゲスト(アミン)分子を排出するのに適した構造特性を有することが明らかにした。そして第三に、C_<70>集合体内部のゲスト分子が外系に含まれる別のゲスト分子との交換反応の検証を行った。その結果、ゲスト分子を含む溶液へC_<70>集合体を接触させることにより、ゲスト交換反応が進行することを明らかにした。ゲスト交換の際、C_<70>集合体はゲスト分子のサイズに応答して格子構造を伸縮させている様子が粉末X線回折から観測できた。 以上のように、本研究では新規C_<70>集合体の基礎的知見として、集合体内部における電子的相互作用を明らかにすると同時に、ホストーゲスト化学的な構造特性を見出した。これまでに同様の報告は為されておらず、本研究は基礎化学的に非常に興味深い成果である。
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Research Products
(2 results)