2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規フラーレン集合体の創製と光電変換システムへの応用
Project/Area Number |
09J04391
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松岡 健一 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 表面プラズモン / 光誘起電子移動 / 貴金属ナノ粒子 / 表面反応 |
Research Abstract |
本研究では研究目的である新規フラーレン集合体と局在型表面プラズモンに由来する特異な光学特性を有する銀ナノ粒子の複合化およびその光電気化学特性評価を目指し、その前段階として銀ナノ粒子-ITO基板間の光電気化学的相互作用の解明に着手した。 その過程において、銀ナノ粒子-基板間における興味深い相互作用を見出した。銀ナノ粒子を担持したITO基板を用い、電子アクセプターである酸素存在下における光電流測定を実施した。得られた光電流スペクトルの波長依存性は、ITO或いは銀ナノ粒子単独のUV-visスペクトルとは異なり、それらを足し合わせた波形に類似するものであった。この結果は、ITO基板と銀ナノ粒子が同時に光励起されることで酸素の還元が促進され、光電流が生成していることを強く示唆している。これと合わせ、銀ナノ粒子の表面状態が、光電流生成に極めて重要な要因であることを明らかとした。 以上の結果は、ITO基板-銀ナノ粒子間の光誘起電子移動反応を明らかにすると同時に、酸素還元反応に対する協奏効果を強く示唆するものである。近年、ITO基板上に有機色素と貴金属ナノ粒子との複合構造を構築し、光学的あるいは光電気化学的な相互作用を評価する試みが多数為されている。本研究で明らかにした内容は、これらの研究事例を深く考察する上で重要な知見であり、新規ナノ構造体の光・光電気化学特性評価の際にも、考慮するべき評価指針になりうる。さらに、多くの半導体-貴金属ナノ粒子複合構造においても類似の協奏効果が期待できるため、将来的に多くの研究事例の基盤になるものと期待される。
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Research Products
(1 results)