2009 Fiscal Year Annual Research Report
ネパール伝統市街地における高齢者居住支援のための重層的生活圏マネジメント
Project/Area Number |
09J04398
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
SHAKYA Lata Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ネパール / 伝統的市街地 / 仏教僧院 / 居住環境 / 高齢者 / 生活圏マネジメント |
Research Abstract |
本研究はパタン市の重層的伝統空間という様相に着目し、その空間の特徴を活かした高齢者の居住支援のための生活圏マネジメントに関する知見を得ることを目的とする。 パタン市伝統市街地は8~11世紀の仏教成長期には仏教学を学ぶ都市として知られ、現在も150以上の仏教僧院が存在する。21年度は仏教僧院街区という視点から僧院を中心とした市街地の実態把握の調査を行った。その方法としては(1)文献調査、仏教学の専門家などにインタービュー調査を行い、ネパールにおける仏教僧院の歴史と変容について把握した。また、(2)伝統市街地に存在する仏教僧院はバハとバヒとして知られ、それぞれを主僧院(ムーバハ、ムーバヒ)と副僧院(カチャバハ、カチャバヒ)に分けられるが、これらが現在どのように利用されているかムーバハでは16件を調査し、また、所有や管理もどうなっているのかをムーバヒ21件の運営・管理組合サンガの構成員に対するインタービュー調査と現地調査から把握した。さらに、1件の主僧院クワバハに所属する副僧院についても個人住宅との関連性を含めた運営体制についてヒアリング調査を行った。これらの調査からはかつて仏教僧院であった建物が徐々に個人住宅化し、それに伴い運営・管理組織サンガも血縁関係のものに変更して行き、宗教と住居の重層性のある空間になっていることが明らかになった。また、個人住宅化してもある部分の僧院空間を地域空間として利用されているものもあるが、都市化によるサンガ構成員が郊外移住することで運営・管理ができず放置された状態の僧院も複数あることが把握できた。 22年度は高齢者の生活圏においての仏教僧院空間の意義、また、そこで行われている地域活動から地域コミュニティとの関連性についても研究を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)