2010 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ在来有畜農業の可能性-エチオピア高地における人?ウシ関係に注目して-
Project/Area Number |
09J04423
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 利和 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有畜農業 / 牛耕 / 作業能率 / ウシ / 犂・軛 / エチオピア高地 / 飼養管理 / オロモ |
Research Abstract |
エチオピア中央高地に位置するオロミヤ州南西ショワ県ウォリソ郡ディレディラティ村ガーグレ地区において6月から8月までの2カ月間フィールドワークをおこなった。9月にはイギリスのレディング大学でアフリカの畜力利用に関する先行研究の資料収集をおこなった。フィールドデータと収集した資料を整理し、1月におこなわれたエチオピア研究会で主に以下2点の成果を報告した。 (1)牛耕の事例を評価する方法として、犂にGPSを装着し、移動距離、停止時間、平均速度の記録を行なった。その結果、通常の牛耕より著しく作業能率が低い事例を通常の観察に加えて定量的数値として補完し説明できることを明らかにした。この方法論を用いてデータを蓄積することにより将来的にはGPSを犂に装着することにより、事例の質を評価できる基準を構築できる可能性があることについて言及した。またこの方法論は他の地域の牛耕技術の特質を比較評価への応用可能性を秘めていることを示した。 (2)地域の飼料管理戦略を検討する方法として、一昨年度実施したガーグレ地区96世帯281頭のウシのうち71世帯221頭について、過去1年のウシの売却、死亡、購入、繁殖を理由とともに聞きとりをおこなう、追跡の調査をおこなった。過去1年間の地域のウシ飼養頭数の変遷を追うことで、地域の飼養戦略を浮き彫りにしたいと考えた。その結果およそ1割のウシを全体で買い換えていることが明らかになった。牛耕の畜力として利用する去勢牛は15%近くの頭数を入れ替えていることがわかった。また経産牛の過去一年間の繁殖成績が93頭中3頭という極めて低い成績を示していることがわかった。この結果は先行研究でも指摘されているように限りある飼料資源を去勢牛に優先的に給餌するためであることが示唆された。
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Research Products
(4 results)