2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物による血清尿酸値変動機構の解明とその情報に基づいた評価系の構築
Project/Area Number |
09J04442
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 正延 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トランスポーター / 医薬品 / 薬物動態 / 尿酸 / 動物モデル / 腎臓 / 排泄 / 種差 |
Research Abstract |
本研究は尿酸値を管理する新しい医薬品の創出に貢献し、また現在用いられている医薬品の適正使用を達成するために、尿酸値調節機構の解明、尿酸調節因子に対する既存薬物の影響解析、及び尿酸動態変動予測モデルの構築に取り組んだ。今年度は、尿酸値調節因子の一つである有機アニオントランスポーターOAT2(SLC22A7)の単離、及び機能解析を行い、尿酸値調節機構の一部を解明した。またOAT2を含め、尿酸値調節に働くトランスポーターの輸送機能に対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、利尿薬が及ぼす影響を検討し、これらの薬物による尿酸値変動は尿酸トランスポーターの輸送活性、あるいは発現量を変動させることに起因することを見いだした。また尿酸動態予測変動モデルとしてのラットの有用性について検討した。はじめにラットの尿酸値調節因子として働く2つのトランスポーターUrat1(Slc22a12)、Uratv1(Slc2a9)を単離、機能解析した。これらのトランスポーターの輸送特性はヒトのオルソログと近似していたが、尿酸及び薬物のこれらのトランスポーターに対する親和性はヒトと比較して低いことが明らかとなった。したがって、薬物の親和性の違いを考慮することによって、ヒトの尿酸動態変動予測モデルとしてのラットが有用であることを示唆することができた。実際にARBをラットに投与して尿酸動態変動を観察したところ、ヒトと同様にトランスポーターの活性を変動させることによって尿酸値が変動する結果が得られた。本研究によってヒトの尿酸値調節機構の一部が明らかとなり、また実験モデル動物としてのラットの有用性が示唆された。本成果は尿酸値を管理する医薬品の創出や、医薬品の適正使用に貢献する重要な情報となると考えられる。
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Research Products
(7 results)