2010 Fiscal Year Annual Research Report
紡錘体の構造形成のメカニズムとその機能に関する研究
Project/Area Number |
09J04473
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高木 潤 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 紡錘体 / 細胞分裂 / 微小管 / 生物物理学 / 分子モーター |
Research Abstract |
本研究の目的は、中期紡錘体の形状制御メカニズムを解明するとともに、紡錘体形状と機能の関連性を明らかにすることである。平成22年度は、前年度に確立した中期紡錘体の力学特性と、紡錘体内微小管ダイナミクスの定量的な解析方法を用いて、中期紡錘体の形状制御メカニズムを解明することを目指した。 微小ガラス針を用いて中期紡錘体を変形すると、紡錘体の形状は変形後数十秒から数分で元の形状に回復する。今回、形状回復過程の紡錘体中の微小管量と微小管密度を、微小管中に加えた蛍光チューブリンの蛍光強度から見積もった。すると、紡錘体を長軸方向に伸長する操作において、伸長の前後で微小管量が変わらないこと、微小管密度は伸長により一時的に上がるが、形状の回復につれ元の値に戻ることが分かった。また、紡錘体を伸長し、その位置で針を固定すると、微小管密度は元の値に回復するものの、紡錘体のAspect ratio(長軸と短軸の比)は完全には元の値に戻らないことが分かった。紡錘体を伸長し、針を元の位置に戻した場合にはAspect ratioも元の値に回復することから、紡錘体の形状は微小管密度とAspect ratioという2つのパラメータを調節することで安定化していることが示唆された。これらの結果から、紡錘体の形状制御機構は、これら2つのパラメータに微小管量を加えた、3つのパラメータで記述できることが分かった。つまり紡錘体の形状は、微小管量といった量的な指標の制御と、分子モーターや微小管などが発生する力の動的なバランス作用によって安定化していることが示唆された。 本年度の研究により、紡錘体の形状制御に関するパラメータを特定し、それらの時間的・力学的スケールを測定することができ、紡錘体の形状制御メカニズムの解明に向け大きく前進した。研究結果については、学会において発表を行った(国内学会3件(内共著2件))。
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Research Products
(3 results)