2011 Fiscal Year Annual Research Report
紡錘体の構造形成のメカニズムとその機能に関する研究
Project/Area Number |
09J04473
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高木 潤 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 紡錘体 / 細胞分裂 / 微小管 / 生物物理学 / 分子モーター |
Research Abstract |
前年度までの研究では、微小ガラス針を用いた外部負荷に対する、紡錘体の形状と、紡錘体を構成する微小管の量と密度の応答特性を計測した。本年度の研究により、これまでに測定された紡錘体の3次元画像に対し、デコンボリューションをかけることで、紡錘体の形状と、微小管量・密度の計測精度が飛躍的に上昇した。この計測手法を用い、紡錘体の大きさ(長軸)L、微小管量M、Aspect ratio α(W/L(W;短軸))、微小管密度D(M/V(V;体積))、γ(V/LW^2)を数十個の紡錘体について計測すると、α、D、γは紡錘体の大きさLに依存しないこと、微小管量Mと紡錘体の大きさLには正の相関があることが分かった。また、これら5つのパラメータはL^3=M/α^2Dγと1つの式にまとめることができ、紡錘体の大きさは微小管量により決まることを式の上からも導出できた。また、外部負荷に対しα、D、γの3つのパラメータが数十秒から数分のオーダーでそれぞれ適応し、紡錘体の形状が安定化することが分かった。微小管密度Dは、微小管同士の間隔を表し、微小管同士をつなぐリンカーの大きさや活性により決まると考えられ、γ、αは微小管の剛性と、微小管にかかる力のバランスにより決まると考えられる。 本研究により、これまで個々に議論されてきた紡錘体形状に関するパラメータを1つの式にまとめ、各パラメータの外部負荷に対する特性をパラメータ間の関係を含め計測できた。紡錘体には非常に多くの種類の形状制御に携わるタンパク質があり、個々のタンパク質の機能と紡錘体の形状制御の統合的理解はこれまで困難を極めていた。しかしながら各タンパク質の機能を本研究で見いだされたパラメータに振り分けることで、大きく理解が進むものと考えられる。本研究成果については、アメリカ生物物理学会において発表を行い、現在論文投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)