2009 Fiscal Year Annual Research Report
紡錘体の構造形成のメカニズムとその機能に関する研究
Project/Area Number |
09J04473
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高木 潤 Waseda University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 紡錘体 / 細胞分裂 / 微小管 / 生物物理学 / 分子モーター |
Research Abstract |
本研究の目的は、中期紡錘体の形状制御メカニズムを解明するとともに、紡錘体形状と機能の関連性を明らかにすることである。平成21年度は形状制御メカニズムを解明するために、中期紡錘体の力学特性の定量化、紡錘体内の微小管ダイナミクスの定量的な解析方法の確立を目指した。 まず、中期紡錘体の力学特性を定量化するために、校正済みの柔らかい微小ガラス針(硬さ=1nN/μm)を用いて中期紡錘体の長軸方向(紡錘体極間方向)の硬さの測定を行なった。すると長軸方向の硬さは約3nN/μmであることが分かり、また粘弾性的性質をもつことがわかった。細胞周期が中期から後期へ移行するためには染色体間に両紡錘体極から正常な張力がかかることが必要であることから、力を発生させる装置としての紡錘体の力学的性質を知ることは非常に重要である。本研究により紡錘体の染色体に力をかける方向(長軸方向)に関する力学的性質を得られたことは大きな意義がある。 また、染色体の正常な分配には正常な紡錘体が形成されることが必要であり、紡錘体の形状がどのように制御されているかを知ることは重要である。現在までに得られている、紡錘体の粘弾性的性質や、変形を受けても元の形状に回復することができるという性質は、紡錘体を構成する微小管がダイナミックに制御されていることに起因すると考えられる。そこで、紡錘体内の微小管ダイナミクスを観察するために、FSM法を用いた紡錘体内微小管1本の追跡手法、3次元的に紡錘体を観察し紡錘体全体の微小管の量や密度を測定する手法をそれぞれ導入した。これらの系と紡錘体の力学測定を組み合わせることで、形状制御過程における微小管ダイナミクスを観察することが可能になり、形状制御メカニズムの解明に向け大きく前進した。 本研究に関連する成果は論文(1)、国際学会(2)、国内学会(2)において発表を行い、評価を得ている。
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Research Products
(6 results)