2011 Fiscal Year Annual Research Report
可視偏光を含む赤外-ガンマ線までの多波長即時観測によるガンマ線バーストの研究
Project/Area Number |
09J04516
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上原 岳士 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | バースト / ガンマ線 / ジェット |
Research Abstract |
本年度の研究実施内容は主に3つある。(1)可視望遠鏡かなた、ガンマ線バースト衛星スィフト、そしてガンマ線衛星を用いてガンマ線バースト(GRB)残光は一成分では説明できないことを示し、博士論文としてまとめた。(2)かなた望遠鏡で観測したGRB091208Bでは、世界で初めてガンマ線バーストの周辺物質の衝撃波中から放射された可視偏光を検出し、論文を投稿した。(3)X線衛星すざくWAMを用いて、ショートGRBの統計的な解析をおこなった。ここでは具体的に(2)について説明する。 パルサー風星雲、AGN、そしてGRBのように、相対論的衝撃波は天球上のいたるところにある。詳細な物理課程は分かっていないが、そのような衝撃波は磁場を数桁以上増幅し、高エネルギー電子を生成することが、これまでの測光と分光で示されている。これらをより理解するための鍵となるような磁場構造は可視偏光観測で迫ることができる。これまでの可視偏光観測ではMundel et al.2007による、GRB060418の上限の結果しかなかった。我々は初めて、GRBの周辺物質の衝撃波を早期可視偏光観測し、GRB091208Bの偏光度10.4+/-2.5%を検出した。この初期観測により、プラズマskin depthスケール(プラズマ中に電磁波が進める表皮距離)でのランダム方向を持った磁場構造のモデル(マイクロプラズマ不安定性モデル)による磁場増幅を強く排除する。我々の観測から得られた磁場が揃っている距離スケールはマイクロプラズマ不安定性モデルの示唆するものよりもおおきい。したがって、より大きなスケールを説明できる磁気流体力学(MHD)不安定性や高エネルギー宇宙線対流が衝撃波中の磁場増幅と電子速度の加速をしている可能性がある。この結果は論文にまとめ投稿中である。
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Research Products
(10 results)