2010 Fiscal Year Annual Research Report
生命系における同期ダイナミクス解析のための実験的手法の開発
Project/Area Number |
09J04536
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 絵一郎 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 位相振動子 / 力学系 / リズム / 位相応答 / 同期 / 実験測定 / 数理モデル / リミットサイクル |
Research Abstract |
22年度は(i)実験研究者との共同研究として,脳波振動の位相応答曲線の実験測定を開始し,(ii)開発手法によって得られる曲線の定量的誤差評価に関する検討を行った.(i)の実験は経頭蓋磁気刺激装置(TMS)を用いて脳波振動に対して摂動を加え,得られたデータに開発手法を適用して測定を行うものである,実験の結果,更に誤差等に関して検討が必要ではあるものの,系統的に変化する二相性の曲線が測定された.この実験研究は今後,脳波振動の機能的役割へのアプローチの一つとして更に発展が期待される.一方,この実験結果の精度を正確に評価する必要が強く認識された.そこで今年度は,(ii)定量的誤差評価のためのベイズ統計モデルの構築も行った.現状のモデルは比較的シンプルなもので,実験データを用いて正しい解を事後分布平均として復元できる一方で,測定誤差(事後分散)を過小評価するという問題もある.今後さらにモデルを精密化することでこの問題を解消し,得られた実験結果の定量的な解析に貢献することが期待される,さらに測定誤差に関連して,データ数が少ない時に生じるある種の測定誤差はこれまで系統的なものであると思われていたが,実は刺激の自己相関関数の収束の遅さに起因する確率的なものであることを理論的考察により明らかにした.この結果を上記の統計モデルに実装することで,正しく測定が行えるパラメータ範囲を拡張し,手法をよりロバストなものへ改良できた.
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Research Products
(5 results)