2011 Fiscal Year Annual Research Report
生命系における同期ダイナミクス解析のための実験的手法の開発
Project/Area Number |
09J04536
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 絵一郎 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 位相振動子 / 力学系 / リズム / 同期 / 位相応答 / 実験測定 / リミットサイクル / 数理モデル |
Research Abstract |
本年度に実施したこととして第一に,開発した位相応答関数の測定手法にベイズ統計に基づく確率モデルを組み合わせることで,測定結果の信頼性を定量的に評価できるようにすること,またそれと同時に,加える刺激の時間相関が長くなる場合に発生する誤差を除去することを目指した研究を行った.構築した確率モデルを用いて数値計算による検証を行ったところ,位相応答関数に対応するモデルパラメータの事前分布の超パラメータを適切な値に設定することで,目標とする誤差の除去を達成すると同時に,背景雑音の強度に応じて事後分布の分散(測定結果の信頼性と解釈できる)が変化するという一定の結果が得られた. 第二に,手法を自然に拡張することで,測定手法を空間自由度のある振動系にも適用できることを見出した.生体内に存在しうる様々な基本的リズム現象,例えば時間周期的なパルスダイナミクスや対流パターンなどが空間自由度を持つことが知られている.そのような系においては位相応答関数も空間自由度を持つと考えられ,それらが揺らぎ刺激を用いて測定可能かどうかを検証した.具体的には,各点がFitzHugh-Nagumo方程式に従うような反応拡散系に周期的運動をする進行パルスを生成し,そこに時空間的に揺らぐ微弱な刺激を加えた.そして自然に拡張した測定手法を用いると,精度良く位相応答関数が測定できた.さらに,系のパラメータに空間的な不均一性があり,進行パルスの速度が変動するような場合であっても,拡張した手法は安定して正しい結果を与えることを確認した.
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Research Products
(4 results)